パリの精神分析医フィリップ・グランベールという人が書いた本。
両親の没後20年を機に書くことを決めたそうです。
一切の無駄を省いた文章が潔くて、何も押しつけないことで
かえって読者の考察を導くようなものになっています。。
これ、フランス語で読めたらもっと良い文章なんだと思うなあ。
日本語で読んでいて、なんだかそんな気がしました。
戦争を生き抜いた両親の秘密を著者が知るに至った過程を書いたものなので
戦争やホロコーストの話が出てくるのですが、
だからといって「戦争は良くない!」と押しつける感じもありません。
グロテスクなリアリズムで表現する人が多いなか、
追憶の彼方でぼんやりと戦争を語るのはちょっと新鮮でした。
最近、新書ばかり読んでいたので
たまにはこういうのも読まなくちゃなあ、と思わされた本でした。
1時間程度で読めてしまうので、興味のある方は是非★