- 作者: 山田悠介,スカイエマ
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 文庫
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舞台は2030年。
10代の自殺が増加の一途をたどり社会問題となる中、
2007年に「青少年自殺抑制プロジェクト(通称YSC)」が立ち上げられた。
「青少年の深層心理解明のため、全国から無作為に選出された子供達を
高ストレス環境に起き、その精神構造を解明するというもの」だった。
2030年現在では、完全に社会システムとして定着し、
人々は為す術もなく子供達を差し出していた。
選ばれた子供には、5歳になると心臓手術が行われる。
その後数年内に突然連れ去られ、
施設では独房のような部屋に入れられる。
勿論出ることは許されない。
そして、ひとりひとりに手渡されるのが、灰色の箱。
真ん中には赤いスイッチがあり、
それを押すと心肺停止する仕組みになっている。
どういう行動を取るかが実験の目的なので、
自身の病気や両親・親類の死などは躊躇なく伝えられる。
精神異常をきたす子、絶望する子、愛する人の死に落胆する子・・・
多くは数ヶ月の間に消えていくのだった。
主人公は27歳の監視員、南洋平。
自分が管理する八王子センターの子供が全滅したのち、
横浜センターへの異動を命じられる。
そこで彼が見たのは、およそ信じられない光景だった。
4人の子供達が、7年間生き続け、15、6歳に成長しているのだ。
始めは敵対心むき出しだった子供達が
次第に洋平に対して心を開き始めたとき、事件が起こる。
そしてそれをきっかけに洋平は子供達の脱出を謀る。
子供達の運命は?
そして洋平をそこまで駆り立てるものとは?
************
止まらなくて2時間ノンストップで読破。
洋平の秘密も、子供達の運命も、
笑っちゃうくらい予想通りだったんですが、
それでも切なくてところどころ泣いてしまいました。
死にネタ激弱なんです私・・・orz
感情移入させといてそりゃあ・・・泣きますわよ。
何度か舞台になっているらしいです。
ああ、いかにも社会派な舞台になりそうな題材です。
2030年、そんな独裁国家みたいなことしてていいのかとか
つっこみどころは沢山ですが、その辺はあまり考えないで
傍観者として読んでいくと楽しめるのでは。
あ、攻殻機動隊も2030年だな。
日本の未来はなんだか暗いイメージですねw
洋平の運命についてですが、
私個人は、政府側の描写がない方が、最後までナゾで
よりいっそう楽しめたのになあと思いました。
まあ、別にどちらでも楽しめますが。
題材としては社会派的なニオイがしますが、
実際は作者の熱い想いみたいなのは伏せて淡々と書かれていて、
ちょいミステリー要素が入ったエンターテインメント(?)小説として
さらっと読めますので、結構オススメです。